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木星の衛星エウロパは、太陽系の中でも特に生命が存在する可能性が高い天体として注目されています。その理由は、エウロパの表面を覆う厚い氷の下に、広大な液体の水の海が存在すると考えられているからです。NASA(アメリカ航空宇宙局)は、このエウロパの海を探査し、生命の存在に必要な要素が揃っているかどうかを調べるミッションを計画しています。
エウロパの海が存在することは、様々な観測データから示唆されています。例えば、エウロパの表面には、氷が割れてできたと思われる亀裂が多数存在し、その割れ目から水蒸気が噴出している様子が観測されています。また、エウロパの磁場を観測した結果、内部に電気を通しやすい液体が存在することが示唆されており、それが塩水である可能性が高いと考えられています。
では、エウロパの海には、どのような生命存在の可能性があるのでしょうか。生命が存在するためには、液体の水、エネルギー源、そして生命を構成する化学物質が必要です。エウロパの海には液体の水が存在することはほぼ確実視されていますが、エネルギー源や化学物質についてはまだ詳しくわかっていません。
エネルギー源としては、木星の強力な潮汐力が考えられます。木星の重力によってエウロパが引っ張られることで、内部に摩擦熱が発生し、海を液体の状態に保っている可能性があります。また、海底には熱水噴出孔が存在し、そこから化学物質が供給されている可能性もあります。
生命を構成する化学物質としては、炭素、水素、酸素、窒素、リン、硫黄などが挙げられます。これらの元素は、エウロパの岩石質の核や、隕石の衝突によってもたらされた可能性があります。NASAのミッションでは、これらの化学物質がエウロパの海に存在するかどうかを調べるとともに、生命の起源や進化に関する手がかりを探します。
具体的には、探査機はエウロパの表面を詳細に観測し、氷の組成や構造を分析します。また、氷を貫通して海に到達する技術の開発も進められています。もし海に到達できれば、直接海水を採取し、生命の痕跡を探すことができるかもしれません。
エウロパの海は、地球の深海環境と似たような環境であると考えられています。地球の深海には、太陽光が届かない過酷な環境にもかかわらず、熱水噴出孔の周りで独自の生態系が発達しています。エウロパの海にも、同様の生命が存在する可能性があるのです。
NASAのエウロパ探査ミッションは、太陽系における生命探査の新たな扉を開くかもしれません。エウロパの海で生命が発見されれば、宇宙における生命の存在は決して稀なものではないということが示唆されます。それは、私たちの宇宙観を根底から覆すような大発見となるでしょう。
参照元: https://science.nasa.gov/science-research/alien-ocean-2/