イギリスの主要野党、労働党の党首であるキア・スターマー氏は、福祉予算削減を断行する姿勢を崩していません。しかしながら、この決定に対し、党内からの反発が日に日に強まっている状況です。120名を超える労働党議員が、障害や病気に関連する給付金の削減を阻止する計画を支持しており、党内における意見の対立が鮮明になっています。
スターマー氏が福祉予算削減を推し進める背景には、イギリス経済の厳しい現状があります。インフレの高止まりやエネルギー価格の高騰など、国民生活を圧迫する要因が重なり、政府は財政健全化を急務としています。労働党としても、政権奪取のためには経済運営能力を示す必要があり、財政規律を重視する姿勢を示さざるを得ないという事情があります。
一方で、障害や病気を抱える人々への給付金削減は、弱者切り捨てにつながるという批判も根強くあります。特に、生活費の高騰が続く中で、給付金が減額されれば、生活困窮に陥る人々が増加する懸念があります。労働党議員の中には、長年、弱者の権利擁護を訴えてきた人々も多く、党の方針転換に強い不満を抱いていると考えられます。
今回の福祉予算削減を巡る対立は、キア・スターマー氏のリーダーシップにとって大きな試練となります。党内の意見をまとめ、国民の理解を得ながら、どのように難局を乗り切るのか、その手腕が問われています。今後の労働党の動向、そしてイギリスの福祉政策の行方に注目が集まっています。
