画像出典: 元記事
オーストラリア先住民の文化を象徴する道具として知られるブーメラン。しかし、今回発見された世界最古のブーメランは、私たちが一般的にイメージする「戻ってくる」ブーメランとは異なる性質を持っていることが明らかになりました。このブーメランは、約4万年前に作られたもので、驚くべきことに、その製造技術は非常に高度であったと科学者たちは述べています。
この古代のブーメランは、オーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州にあるクータムンドラ近郊の湿地帯で発見されました。材質はマンモスやサイなどの大型哺乳類を狩猟するために使用されたと考えられており、その形状や大きさから、獲物を狙って投げつける「狩猟用ブーメラン」であった可能性が高いとされています。実際に、初期のブーメランは、現在のような遊戯用ではなく、主に狩猟や戦闘の道具として使用されていました。
「戻ってくるブーメラン」は、空気力学的な特性を利用して、投げた場所に戻ってくるように設計されています。これは、特定の角度で翼がねじれていたり、非対称な形状をしていることによって実現されます。しかし、今回発見されたブーメランには、そのような特徴は見られません。そのため、このブーメランは、標的に直接命中させることを目的とした、より原始的な形態の道具であったと考えられます。
この発見は、ブーメランの歴史だけでなく、人類の道具製作技術の進化を理解する上でも非常に重要な意味を持ちます。4万年も前の時代に、これほど高度な技術を用いて道具を作っていたという事実は、当時の人々の知恵と創造性を物語っています。今後の研究によって、このブーメランがどのように使用され、どのような目的で作られたのか、更なる詳細が明らかになることが期待されます。また、この発見をきっかけに、世界各地で発見されている古代のブーメランに関する研究も進展し、人類の歴史に対する理解が深まることが期待されています。